知っておきたい過重労働対策の経過
2015/10/25更新
過重労働や過労死は法整備や職場環境改善などにより対策が進められてきました。その経緯を紹介します。これを知っておくと、職場のさまざまなルールに対して理解を深めることができます。
1987年まで
- 1980年代までは過労死などの予防対策は取り上げられることはなかった。労災補償の問題のみ。
- 1987年に労災認定基準が改正になったが過重労働と認められる基準が厳しいすぎた。
- 労災認定されないケースが多くて批判が生じた。→過労死問題。
1992年
- 労働安全衛生法改正。
- 「快適な職場環境の形成のための措置」(第71条の2~4)が追加された。事業者の努力義務を規定。
1996年
- 労働安全衛生法改正。「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」
- 健康診断結果の所見がある労働者について医師の意見を聞くこと。
- 健康診断結果に基づいて、場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜作業回数の減少。
1999年
- 労働安全衛生法改正。
- 深夜業の労働者は健康診断結果を事業者に提出できる。事業者は必要に応じて就業上の措置を講ずる。
2000年
- 労働災害補償保険法改正。
- 二次健康診断等給付制度が創設。
- 「血圧」「血中脂質」「血糖」「腹囲または肥満度」のいずれにも所見がある労働者に二次健康診断と保健指導を無料で給付する。
2001年
- 労災認定基準改正。
- きっかけは2000年7月過労死の労災認定の考え方に影響がある最高裁判決がでたため。
- 「脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準について」が示され、これが原稿の認定基準となっている。
2002年
- 認定基準改正に合わせて、過労死予防のための「過重労働による健康障害防止のための総合対策について」(旧総合対策)が示される。
- 「面接による保健指導」や労働時間短縮を進めるべきの旨が記されている。
- 2006年に労働安全衛生法改正によって新しい総合対策が示された。
- 2008年、一部改正。
2005年
- 労働安全衛生法改正。
- 過労死等の労災認定件数増加、精神疾患による自殺の労災認定件数増加に伴うもの。
- 「面接による保健指導」→「面接指導」。メンタルヘルス対策も含まれるようになった。一定の労働者の面接指導が事業者の義務となった。
2009年
- 「こころの耳」構築。
- メンタルヘルス対策、過重労働対策についてインターネットによる情報提供。
2010年
- 労働基準法 施行規則別表1の2に規定する労災補償の対象とな業務上疾病のリストが改正。
- 過重業務による脳血管疾患および虚血性心疾患が精神障害とともに明記。
過重労働対策
行政指針として「過重労働による健康障害を防止するため事業者が講ずべき措置」に過重労働の対策が示されています。
1~4は対策のプライオリティを表しています。
- 時間外・休日労働時間の削減
- 年次有給休暇の取得促進
- 労働時間等の設定の改善
- 労働者の健康管理に係る措置の徹底
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