認知行動療法

認知行動療法

2014/02/22更新

 うつ病になる人は、自分の将来や周りの人に対してネガティブに考えすぎな傾向があります。こういった考え方のクセは「認知の歪み」と呼ばれていて、うつ病を引き起こす大きな原因のひとつとなっています。
 認知行動療法は、「認知の歪み」を矯正する治療方法です。

 

うつ病は専門医で治療しましょう

 今や精神疾患の代表とも言えるうつ病、日本人の中でもうつ病とされている人は増加の一途をたどっています。うつ病はなぜか重大な病気と見られず、軽視されがちですが、れっきとした病気ですので専門家による正しい治療を行わなければいけません。

 

認知行動療法は最も行われている心理療法

 うつ病の治療方法の一つとして確立されているのが認知行動療法と呼ばれる方法です。認知行動療法と言われてもあまり馴染みが無いかもしれませんが、その歴史は古く今でもアメリカやイギリスなどの医療先進国とも言える国々では最も行われている心理療法といわれています。特にうつ病の症状が慢性化した人に効果があるとされており、インターネット上でも認知行動療法は行われているほどです。

 

認知行動療法は「認知の歪み」を正す治療方法

 では、具体的に認知行動療法とはどのような治療法なのでしょうか。それは認知という言葉がとても重要となっています。ここでいう認知とは考え方や物事の捉え方を指しています。うつ病とはある物事に対してネガティブな思考に陥りやすく、やがては全ての思考がネガティブな方向へと向かってしまいます。また、「○○すべき」という思考や過度な一般化、全か無かの思考という極端な考え方もしてしまいます。こういう考え方は「認知の歪み」と呼ばれています。認知行動療法とは、物事の捉え方そのものを変えて、認知の歪みを正していく治療法なのです。簡単にいえば、マイナス思考をプラス思考へと転じる方法とも言えます。例えば、Aという物事や出来事に対してネガティブな捉え方をしたいる場合、ただネガティブな捉え方ばかりではなくポジティブな捉え方へと誘導するのです。物事の捉え方というのは人によって実に様々で、一方の見方では悪いことでも違う見方をすれば良いことだということもあるのです。同じ物事でも多角的に見ることが出来るようになると、マイナス思考へと陥りがちな状態から抜け出せることが出来るというわけです。

 

認知行動療法の主役は自分

 認知行動療法の最大の特徴は、基本的には自分自身が行なう治療法だということです。勿論誰かの助けを借りて行なうこともありますが、あくまで自分が自発的に行なうことで成立する治療法というわけです。その為、効果的に行なうには自身の思考や感情をきちんと理解できるかどうかにかかっています。いくら治療を行っても、自身の物事の捉え方へやそれに対する感情の動きを把握出来ていなければ期待しているような治療の効果を得ることは出来ません。また、自分自身で自分を治療するということは自身に治療したいという強い気持ちが必要になります。自主的に取り組み、健康になりたいと思わなければ意味は無いのです。物事を多角的に見るためには柔軟な思考を持っていることも重要です。一つの見方にとらわれないようにしなければなりません。自分自身で行える治療法ということで認知行動療法は行なうのは比較的簡単ですが、うまくいくかどうかも自分自身にかかっているのだということを忘れてはいけないのです。

 

認知行動療法の進め方の例

 認知行動療法の具体的な進め方の例を紹介します。
 手順は大きく2つです。

 

1.考え方を振り返る
2.考え方を見つめ直す

 

 カウンセリングによって進めていきます。

 

 私の体験したのでは、先生からインタビューのように聞かれました。

(医師)どのような状況でしたか?

(私)職場の人が次々辞め、その仕事が一気に私のところにきて、回らなくなりました。

(医師)その時どのような気分でしたか?

(私)体力が持たないという気持ちが限界に対して9割、焦りが限界に対して7割といったところでしょうか。

(医師)その時何を考えましたか?

(私)できない自分が情けない。このままでは会社がつぶれる。

 

 このような考えに対して、医師と一緒に新しい考えを見出すようにします。
 「逆の考え方はできないか」「別の考え方はできないか」「視野を広げることはできないか」などが考え方の矯正のポイントでした。
 そして、私の場合は次のように考え方になりました。

  • できない自分が情けない→急に知らない仕事が増えたので、誰が担当でもできなかった。自分だけが悪いわけではない。
  • このままでは会社がつぶれる→会社全体で対応できる。新しい人も入ってくれる。

 気分にも変化が出ました。

  • 体力が持たないとい気持ち:9割→4割
  • 焦り:7割→4割

 このように認知行動療法では、自分自身で認知の歪みに気づき、正しい考え方を見出すことが大切です。

 

 考え方の改善に合わせて環境調整も行っていきます。仕事量の軽減、休職、人事異動の検討などを行います。

 

 認知行動療法は効果が実証されている治療方法です。しかし、行っている医療機関は多くはありません。通っている医療機関で認知行動療法を行っていないのであれば、主治医に相談して紹介してもらうとよいでしょう。

 

問題解決技法

 認知行動療法では問題解決技法が用いられることがあります。
 たくさんの具体的な解決のアイデアを出し、一番効果的で実行できるものに取り組んでいきます。もし解決できなければ、そもそも問題が適切であったか、問題の明確化からやり直します。上手く解決できれば、認知も変わっていきます。しかし、うつ病の状態によっては、深く考えることが良くないこともあるので、問題解決技法を用いるかどうかは医師が判断します。

 

 

 

 

うつ病の診断や治療は専門の医療機関にてお受けください。→うつ病を診察してもらう病院や相談窓口

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