男性更年期障害

男性更年期障害の症状と対策

2012/12/18更新

 「熱中していた趣味をやめてしまった」「帰宅が早くなった」「眠れない夜が続く」

 

 更年期の男性にこんな症状が現れたら、それは男性更年期障害の始まりかもしれません。

 

 うつ病に症状が似ていますが、男性更年期障害の場合、原因は男性ホルモンの減少にあります。

 

女性の更年期障害との違い

 更年期障害というと、女性の症状と考えられていましたが、近年では男性にも症状が現れることが多くなりました。

 

 女性の更年期障害は、女性でしたら誰もが起こる更年期の女性ホルモンの減少からくるものです。

 

 いわば女性の遺伝子に組み込まれた通過儀礼のようなものです。

 

 女性の更年期障害は一般的に5~10年で症状が軽快するとされています。

 

 一方、男性の更年期障害は、男性のごく一部にしか起こりません。

 

 先天的なものではなくて社会環境に影響されて起こるものです。

 

 男性更年期障害は症状に気づかずに放っておくと、治らないまま一生症状が続いてしまいます。

 

症状

 男性更年期障害は身体面、精神面、行動面で症状が現れます。

 

身体面

 頭痛、めまい、肩こり、吐き気、ほてり、冷え、動悸、腹痛、腰痛など体のあらゆる場所にさまざまな異常があらわれます。

 

 眠れなくなったり、細かい文字が読めなくなったりします。

 

精神面

 意欲がわかない、イライラする、やる気がない、集中力がないといった無気力感が現れます。

 

 原因も特定できないままこのような症状が起こることを不定愁訴ともいい、うつ病に発展することもあります。

 

行動面

 一日中ぼーっとしている、熱中してた趣味をしなくなる、外出しなくなる、表情が乏しくなるといったことが起こります。

 

原因

 男性の更年期障害は更年期に男性ホルモンが減少することにより引き起こされます。

 

 男性ホルモンの役割は、正常な認知機能、やる気を引き起こす、体内時計を正常に保つなどです。

 

 男性ホルモンが減少すると、判断力が低下したり、気分が落ち込んだり、睡眠不足になったりします。

 

 二次障害として、認知症やうつ病になってしまうこともあります。

 

 原因は社会環境によるものが大きいです。

 

 男性の場合、40代、50代になると老化によって、身体機能、ホルモン系機能が衰えてきます。

 

 そのような状況に環境変化や仕事のプレッシャーが加わることで、様々な症状が現れ、更年期障害となってしまうわけです。

 

 仕事上のストレスだけでなく、定年で仕事をやめたことがきっかけになることもあります。

 

 自分の能力を必要とされなくなることで、男性ホルモンが減少しやすくなるからです。

 

 発病年齢は早ければ30代後半です。定年になってから発病する人も多くいます。

 

男性更年期障害の受診・診断

 男性更年期障害かなと思ったら、「泌尿器科」を受診しましょう。実は「泌」はホルモンを表しているのです。

 

 最近では「更年期外来」や「メンズヘルス外来」といった名前で出している病院もありますので、そちらでも受診できます。

 

 精神的な症状が目立って現れている場合は、精神科やメンタルヘルス科を受診することになります。精神症状の影になって、男性更年期障害だとは気づかないからです。

 

 ちなみに女性の更年期障害は婦人科です。

 

 診療ではまずテストステロンの計測が行われます。テストステロンの数は個人差がありますが、年齢には関係ありません。

 

治療

 治療の方法には個人差がありますが、概ね次のようなことが施されます。

 

  • 男性ホルモン注射
  • 漢方やビタミン剤の処方
  • 運動促進
  • 生活習慣、睡眠環境の改善

 

 きちんと治療すれば1年ほどで改善する例もあります。前向きに取り組むことが大切です。 

 

男性更年期障害を発症しやすいタイプ

 次のようなタイプの人は若くして男性更年期障害を発症しやすい傾向にあります。

 

若くして男性更年期障害を発症しやすい人のタイプ
  • 真面目な人
  • 都会に勤めている人
  • 通勤時間が長い人
  • 管理職
  • 単身赴任の人
  • 家庭の仲が悪い人

 

 これらとは逆で、次のような方は、男性更年期障害を発症するのが50代以降と遅く、症状も軽くてすむ傾向にあります。

 

男性更年期障害の発症が遅い人のタイプ
  • ゆっくり仕事のできる人
  • 田舎暮らしの人
  • 通勤時間が短い人
  • ストレスの少ない人

 

 現在、男性に更年期障害が多いことはあまり知らせていません。

 

 「若くして更年期障害を発症しやすい人のタイプ」の人は、少しでも「更年期障害の発症が遅い人のタイプ」になるよう努めましょう。

 

予防

 男性更年期障害にならないためにも日頃から予防を心がけましょう。予防の方法には次のようなものがあります。

 

運動

 ラジオ体操やウォーキングなど軽い運動でも可です。

 

筋トレ

 筋肉量が多いほど男性ホルモンが多いという傾向があります。

 

人との交流

 趣味を通じて人と関わるとよいでしょう。
 なかでも女性と交流する機会が多いものが良いです。社交ダンスは良い例です。

 

妻に褒められる

 妻ができる予防法として、頻繁に夫を褒めるというものがあります。
 褒められると男性ホルモンのテストステロンが増えることがわかっています。
 特に中高年になると、人に褒められる機会は少なくなるものです。
 奥さんは「その服似合ってるね」とか「力仕事助かるわ」など、ちょっとしたことでいいので日頃から褒めてあげてください。

 

 

 

 

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