心理的負荷による精神障害の認定基準-うつ病の原因

心理的負荷による精神障害の認定基準

2014/10/30更新

 厚生労働省が労災認定のために定めた「心理的負荷による精神障害の認定基準」を紹介します。
 出来事がストレス要因となるかどうかは、受けた人がどう認知するかによって違ってきます。反応の出方や程度は、その人によって大きく異なります。

出来事の分類

具体的な出来事

心理的負荷の強度

①事故や災害の体験

(重度の)病気やケガをした

悲惨な事故や災害の体験、目撃をした

②仕事の失敗、過重な責任の発生など

業務に関連し、重大な人身事故、重大事故を起こした

会社の経営に影響するなどの重大な仕事上のミスをした

会社で起きた事故、事件について、責任を問われた

自分の関係する仕事で多額の損失などが生じた

業務に関連し、違法行為を強要された

達成困難なノルマが課された

ノルマが達成できなかった

新規事業の担当になった、会社の建て直しの担当になった

顧客や取引先から無理な注文を受けた

顧客や取引先からクレームを受けた

大きな説明会や公式の場での発表を強いられた

上司が不在になることにより、その代行を任された

③仕事の量・質

仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった

1ヶ月に80時間以上の時間外労働を行った

2週間以上にわたって連続勤務を行った

勤務形態に変化があった

仕事のペース、活動の変化があった

④役割・地位の変化等

退職を強要された

配置転換があった

転勤をした

複数名で担当していた業務を1人で担当するようになった

非正規社員であるとの理由により、仕事上の差別、不利益取扱いを受けた

自分の昇格・昇進があった

部下が減った

早期退職制度の対象となった

非正規社員である自分の契約満了が迫った

⑤対人関係

(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた

上司とのトラブルがあった

同僚とのトラブルがあった

部下とのトラブルがあった

理解してくれていた人の異動があった

上司が替わった

同僚等の昇進・昇格があり、昇進で先を越された

⑥セクシャルハラスメント

セクシャルハラスメントを受けた

 

”中”は場合によっては”強”になることもあります。

 

【時間外労働に関する心理的負荷】

  • 1月あたり80時間未満→「弱」
  • 1月あたり80時間以上→「中」
  • 発病直前の2ヶ月に1月あたり120時間以上→「強」

 

 

「特別な出来事」

 心理的負荷は「特別な出来事」と「特別な出来事以外」に分かれ、上記の表は「特別な出来事以外」に該当するものです。
 次に「特別な出来事」で心理的負荷が”強”であるものを紹介します。

 

心理的負荷が極度のもの
  • 生死に関わる極度の苦痛を伴う、または永久労働不能となる後遺障害を残す業務上の病気やケガをした。(業務上の傷病により6ヶ月を超えて療養中のものについて、症状が急変した極度の苦痛を伴った場合を含む)
  • 業務に関連し、他人を死亡させ、または精子に関わる重大なケガを負わせた。
  • 強姦や本人の意思を抑圧して行われたわいせつ行為などのセクシュアル・ハラスメントを受けた。
  • その他、上記に準ずる程度の心理的負荷が極度と認められるもの。

 

極度の長時間労働
  • 発病直前の1ヶ月におおむね160時間を超えるような、またはこれに満たない期間に同程度の(例えば3週間で120時間以上の)時間外労働を行った。ただし、休憩時間が少ないが手待時間が多い等、労働密度が特に低い場合を除く。

長時間労働は時間によって”強”となる

 長時間労働はその時間によって評価が変わってきますので、次に特記します。

 

特別な出来事として

 発病直前の時間で判断します。”強”となる例には次のようなものがあります。
・発病直前の1ヶ月におおむね160時間以上の時間外労働。
・発病直前の3週間におおむね120時間以上の時間外労働。

 

特別な出来事以外として

 発病前の1ヶ月から3ヶ月間で判断します。”強”となる例には次のようなものがあります。
・発病直前の2ヶ月連続して1月あたり120時間以上。
・発病直前の3ヶ月連続して1月あたり100時間以上。

 

他の出来事と関連して

 出来事が発生した前や後の恒常的な長時間労働を判断します。100時間が目安です。”強”となる例には次のようなものがあります。
・転勤してたその翌月100時間程度の時間外労働。

 

※時間外労働は週40時間を超える労働時間を指しています。

 

 

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