抗うつ薬

抗うつ薬

 抗うつ薬はうつ病の薬による治療の中心になるもので、脳内の神経伝達物質の働きを回復させる作用があります。
 抗うつ薬の種類、使い方、薬名、効果を紹介します。 
 現代のうつ病の治療では薬は不可欠です。医師の処方をきちんと守りましょう。

 

抗うつ薬の使い方

 抗うつ薬の使い方を時系列に紹介します。

 

抗うつ薬を使うかどうかの判断

 うつ病の治療では、必ずしも抗うつ薬が使われるわけではありません。軽症の場合には使われないこともあります。

 

飲み始め(~4週目)

 まずは1種類の抗うつ薬から飲み始めます。比較的副作用が少ないため、SSRIやSNRIといった新しい薬から始めることが多いです。飲み始めのうちはイライラ感が現れやすく、稀に眠れないという人もいます。稀ですがそのような症状が出た方はすぐお医者さんに相談しましょう。
 効き始めるまでには最低でも2週間はかかります。2~4週間で効果がなければ増量してみて、また2~4週間後に効果がなければ別の薬を試すといった流れになります。

 

効き始め(~数ヶ月)

 効き始めてから、うつ症状がなくなるまでは数ヶ月は必要です。完全治ったと勘違いして、勝手に飲むのをやめてしまう人がいます。絶対に途中でやめないでください。うつ症状が再燃することもありますし、個人差はありますが目眩や吐き気を引き起こすこともあります。

 

寛解(半年~1年)

 うつの症状がなくなっても、再燃や再発防止のため、1年くらいは飲み続ける必要があります。

 

抗うつ薬は使い方に注意

 抗うつ薬は効果が高いのですが、決して使いやすい薬ではありません。最初の薬でいきなり効果が出るとは限りません。最初の薬で症状が消える割合は4割であるというアメリカの研究報告もあります。
 また、効果が出るまでに日数がかかりますし、副作用が出ることもあります。抗うつ薬は医師の処方を守って正しく使いましょう。

 

不安やイライラが強まることも

 抗うつ薬の副作用で不安やイライラが強まることもあります。特に24歳以下の若い人は、自殺に繋がることもありますので、特に慎重に使う必要があります。とにかく、使用していて何か疑問や不安をを感じるようなら、すぐ医師に相談することが大切です。

 

勝手にやめてはいけない

 薬は患者さんごとに相性があります。抗うつ薬は医師の診断のもと処方されるものです。処方された分量を守って飲みましょう。副作用がつらい場合は医師と相談しましょう。副作用は飲み始めに出ることが多く、副作用が治まってから効果が現れる人もいます。勝手に量を減らしたり、服用をやめたりしてはいけません。出来る範囲なら少し我慢することも必要です。
 また、症状が軽くなってくると気が緩んで薬物治療を中断してしまう人がいます。薬をやめてしまうと、症状がぶり返してしまうことも多くあります。これを再燃といいます。症状が軽くなったからといって安心せず、薬物治療を継続できるよう、本人も周りの人も注意してください。

 

 

抗うつ薬の種類

 抗うつ薬には次の5つの種類があります。

  • 三環系抗うつ薬
  • 四環系抗うつ薬
  • SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
  • SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)
  • NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)

 

三環系抗うつ薬

 三環系抗うつ薬は、抗うつ薬治療の初期に開発された抗うつ薬です。抗うつ作用が強く、うつ状態に効果的です。しかし、便秘や喉の渇きといった副作用の強さが認められています。

 

三環系抗うつ薬の副作用

 眠気、目のかすみ、口の渇き、動悸、便秘、排尿困難。

 

三環系抗うつ薬一覧
一般名 代表的な商品名
アミトリプチリン塩酸塩 トリプタノール
アモキサピン アモキサン
イミプラミン塩酸塩 トフラニール
クロミプラミン塩酸塩 トアナフラニール
ドスレピン塩酸塩 プロチアデン
トリミプラミンマレイン酸塩 スルモンチール
ノルトリプチリン塩酸塩 ノリトレン
ロフェプラミン塩酸塩 アンプリット

 

四環系抗うつ薬

 四環系抗うつ薬は、三環系抗うつ薬の次に開発された抗うつ薬です。効果は比較的緩やかです。副作用が弱く、高齢者や軽症のうつには使いやすいといった特徴があります。

四環系抗うつ薬の副作用

 眠気、目のかすみ、口の渇き、動悸、便秘、排尿困難。

 

四環系抗うつ薬一覧
一般名 代表的な商品名
セチプチリンマレイン酸塩 テシプール
マプロチリン塩酸塩 ルジオミール
ミアンセリン塩酸塩 テトラミド

 

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)

 SSRIは四環系抗うつ薬の後に開発された抗鬱薬です。SSRIはセロトニン系の神経だけ選択的に働く抗うつ薬です。うつ病の原因として考えられているセロトニンの欠乏を防ぐ作用があります。それまでの抗うつ薬より副作用が弱く、抗うつ効果が高いのが特徴です。現代のうつ病治療ではメインで使われる薬といえます。

 

SSRIの副作用

 吐き気、下痢、性機能障害、ある種の薬と併用できない。

 

SSRI一覧
一般名 代表的な商品名
フルボキサミンマレイン酸塩 デプロメール、ルボックス
パロキセチン塩酸塩水和物 パキシル
塩酸セルトラリン ジェイゾロフト
エスシタロプラムシュウ酸塩 レクサプロ

 

SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)

 SNRIは、うつ病の原因が脳内のセロトニンとノルアドレナリンの欠乏にあるという考え方から開発された抗うつ薬です。SNRIはセロトニンとノルアドレナリンの働きを強める作用があります。どちらかというと、SSRIは不安症状に効果があるのに対し、SNRIは意欲低下などの症状に効果があるとされています。

 

SNRIの副作用

 吐き気、頻脈、尿が出にくい。

 

SNRI一覧
一般名 代表的な商品名
ミルナシプラン塩酸塩 トレドミン
デュロキセチン塩酸塩 サインバルタ

 

NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)

 NaSSAは2009年に承認された抗うつ薬です。セロトニンとノルアドレナリンを効率良く増やす作用があります。効果が現れるのが早く、焦燥感や衝動性などの副作用も現れにくいのが特徴です。不眠解消、不安解消、食欲改善にも効果があります。

 

SNRIの副作用

 眠気・体重増加。

 

SNRI一覧
一般名 代表的な商品名
ミルタザピン リフレックス、レメロン

 

副作用の比較

 副作用の強さは、個人差はあるもののだいたい、三環系抗うつ薬>四環系抗うつ薬>SSRI=SNRIといったところです。

副作用の対策

 副作用を抑えるために処方される薬もあります。しかし、対策を講じることで自分で副作用を抑えることもできます。
 眠気がする人は抗うつ薬を就寝前に飲むという対策がとれます。吐き気がする人は一度に食べ過ぎない、夜遅くに食べないといった対策がとれます。また、酸味の強い食べ物には吐き気がしないという人も多くいますので、すっぱいものを食べてみるのもよいでしょう。

抗うつ薬以外で使われる薬

 うつ病の治療では、抗うつ薬以外の薬も使われることがあります。

 

抗不安薬

 SSRIなどの服薬初期にみられる不安や焦燥感をおさえるために、抗不安薬が使われることがあります。

 

睡眠薬

 うつ病では睡眠障害がよくあらわれますし、生活リズムを整えるためにも、睡眠薬が使われることがあります。
 うつ病の症状が良くなれば、睡眠の状態も良くなってきます。それまでは睡眠薬の量を調整しながら使っていきます。

 

抗精神病薬

 抗精神病薬は統合失調症の治療で使われる薬ですが、幻覚や妄想を伴う場合や、不安や焦燥感が強く落ち着きがないような場合に、抗精神病薬が使われることがあります。
 代表的なものにはスルピリドがあります。スルピリドは少量では潰瘍の治療薬、大量で統合失調症の治療薬として使われる薬です。

 

気分安定剤

 気分安定剤は双極性障害や抗うつ薬の効果が薄いときに使われます。
 気分安定剤にはリチウムや抗てんかん薬、またいくつかの非定型抗精神病薬があります。

 

便秘薬

 便秘薬は、抗うつ薬の副作用として便秘があらわれる場合に使われます。

 

 

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