うつ病の原因

うつ病の原因 3つの要因

 うつ病はひとつの原因で起こる病気ではありません。

  • ストレス
  • 考え方
  • 脳の働き

 これらが組み合わさることで、うつ病の原因になると考えられています。

 

ストレス

 生活にストレスはつきもの、うつ病に関連するストレスは様々なものがあります。

 

  • 過労、長時間労働
  • 仕事内容の変化
  • 人間関係
  • 死別
  • 離婚
  • 子供の独立
  • 引っ越し
  • 結婚
  • 昇進、降格
  • 転勤
  • リストラ
  • 大きな仕事が終わった時
  • 仕事上の失敗
  • パワーハラスメント
  • 病気

 

 仕事においては、仕事での要求が大きいにも関わらず、自由裁量の度合いが小さく、社会的支援が得られない場合にストレスが高くなるというモデルが提唱されています。

 

 仕事がきっかけでうつ病になる人は多く、長時間労働や職場での出来事が原因となることもあります。=>長時間労働の背景-うつ病の原因

 

 リストラによる失職なども強いストレスのきっかけになります。パワーハラスメントやセクシャルハラスメントを受けてうつ病になる人も少なくありません。うつ病のこれまで一生懸命やってきた仕事が一段落したときも案外ストレスになったりします。私の場合は、会社の仕事のし過ぎが主な原因でした。

 

 厚生労働省は労災認定のために「心理的負荷による精神障害の認定基準」を定めました。仕事におけるストレス要因を6つに大別して記されています。=>心理的負荷による精神障害の認定基準-うつ病の原因
 しかし、同じ要因でも、個人によって受け止め方や反応の出方に差があるので注意が必要です。

 

 仕事以外でうつ病の原因になりやすいは、家族の死別や離婚といった喪失感によるものです。

 

 また一見良いと思われる昇進や結婚もその後の環境変化が大きなストレスになる可能性があります。いずれにせよ慣れ親しんだ環境を失うことは大きなストレスになります。

 

 ストレスはだれでも感じるものですが、うまく処理できれば問題はありません。しかし、処理が下手な人はストレスをどんどんためてしまい、うつ病の原因になってしまいます。どちらかというと、一時的な大きなストレスより長く続くストレスのほうがうつ病の原因になりやすいです。

 

ストレスだけでうつ病になるわけではない

 ストレスはうつ病の原因になりますが、ストレスが原因のすべてではありません。ストレスがほとんどなくてもうつ病になる人もいます。ストレスはうつ病の最後のひと押しともいえます。
 うつ病の原因には以下に記すように考え方や脳の働きも関わってきます。同じ出来事でも受け止め方には個人差があり、ストレスと感じる人もいれば感じない人もいます。それが考え方の違いです。
 また、原因が脳の脆弱性そのものにあった人も多く、ストレスを全く感じなくても、うつ病を発症してしまうことも少なくありません。

 

ストレスに対しては環境調整や休養で治療する

 仕事環境や人間関係の悩みがストレスにつながります。うつ病の治療においては、環境を調整することによってストレスの軽減を狙います。

 

考え方

 同じストレスでも人によって考え方が違います。うつ病になる人はこんなふうに考えます。

  • 自分はダメな人間だ
  • きっとみんなから嫌われている
  • これから先つらいことばかりだ

 人間だれしもある部分ですが、うつ病にならない人はその悲観的な考え方を跳ね返せます。うつ病になる人は跳ね返せないので、負の連鎖に陥ってしまいます。
 私もうつ病の頃はこんな考え方に陥っていました。全てに対して悲観的になってしました。

 

考え方の問題には精神療法で対処する

 考え方の問題に対しては認知行動療法支持的精神療法(カウンセリング)といった精神療法で対処します。

 

脳の働き

 うつ病になる人は、脳の神経伝達物質(セロトニン、ノルアドレナリンなど)が減っています。神経伝達物質が減っているので、脳内の情報の連絡が上手くいかなくなります。このような脳の変化が発症そのものの原因となります。→うつ病のメカニズム

 

ホルモンのバランスが崩れるとうつ病になりやすい

 血圧やエネルギーの代謝などをおこない、体内の調整を行うのがホルモンです。
 ホルモンは神経系と関わりがあるためバランスが崩れるとうつ病を発症しやすくなります。女性の場合、女性ホルモンが変動しやすい時期に発症しやすくなります。

 

脳の働きの低下に対しては薬で対処する

 脳の働きの低下に対しては抗うつ薬などの薬で対処します。セロトニンやノルアドレナリンの増加を狙います。

 

 

他の病気が原因となることも

 脳血管障害や脳腫瘍などの器質的な病気、膠原病、消化器疾患、甲状腺機能亢進症などのホルモン系の病気、感染や中毒による病気や、うつ病以外の精神疾患が原因となることもあります。
 =>うつ病の原因となる病気

 

 また、うつ病以外の病気で使用していた薬が、うつ病の原因になることもあります。薬の作用が脳内の神経伝達物質に影響を与えるためと考えられています。例えば次のような薬がうつ病になりやすいといわれています。

  • 副腎皮質ホルモン剤
  • レセルピン系降圧剤
  • インターフェロン
  • 精神病の薬
  • パーキンソン病の薬
  • 経口避妊薬

 うつ病を招く可能性のある薬はこれ以外にもたくさんあります。うつ病になってしまった場合は、他の病気の薬が影響していないか確認する必要があります。

 

 いずれにせよ、原疾患が基となって、考え方が変わったり、ストレスを感じたり、脳の機能に変化があったりして、それがうつ病へとつながっていきます。うつ病にならないためにも、心も体も健康でいましょう。

 

どの病気が原因なのかを判別するのは難しい

 難治性の病気になってしまい元気がなくなってうつ病になってしまったり、病気そのものがうつ病と密接に関係していたり、実はうつ病なのに体の病気がめだっていたり(→仮面うつ病)するなど、他の病気とうつ病の関係は単純ではありません。この病気になるとうつ病になるという因果関係を解明することは難しいです。

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