双極性障害(躁うつ病)

双極性障害(躁うつ病)

 気分が高ぶる躁状態と気分が落ち込むうつ状態を繰り返すタイプの気分障害を双極性障害と呼びます。躁うつ病と呼ばれることもあります。気分障害のうち、約75%がうつ病で、約25%が双極性障害といわれています。

 

双極性障害はうつ病と間違われやすい

 双極性障害(躁うつ病)は見落とされやすく、うつ病と診断されてしまいがちです。うつ病と診断された人に10年間の追跡調査をしたところ、約2割が双極性障害に診断が変わっていたとの研究結果も報告されています。
 精神科を受診するときは、たいていうつ状態の時です。躁状態で病院に行くことはほぼありません。うつ状態のまま医師と面談するうえに、以前の躁状態での出来事を話すことは少なく、そのため、双極性障害ではなくうつ病と診断されてしまうのです。
 うつ病と双極性障害では治療方法が違います。本当は双極性障害であるのに、うつ病だと思って治療を続けていては治りませんし、抗うつ薬を使うことで症状が悪化してしまうケースもあります。うつ病がなかなか治らない場合には双極性障害を疑ってみることも大切といえるでしょう。

 

 

双極性障害の症状

 双極性障害では、軽躁(軽い躁状態)といわれる状態と躁状態があります。それぞれ特徴を紹介します。

 

軽躁

 双極性障害では軽躁(軽い躁状態)がよく見られます。
 軽躁の症状には次のようなものがあります。

  • 明るくなる。
  • 活動的になる。
  • 仕事を徹夜で仕上げたりする。
  • 多くの仕事を一気に引き受ける。
  • 「人が変わったようだ」と周囲から評価されることが多い。

 軽躁は普通の状態の延長と捉えられることが多く、むしろ周囲から好ましい評価を受ける傾向にあります。そのため、異常には気づきにくいのです。

 

躁状態

 軽躁よりも気分が高ぶった状態です。
 躁状態の症状には次のようなものがあります。

  • 自分が偉くなったように感じる。
  • 金遣いが荒くなる。大きな買い物を平気でしてしまう。
  • 眠らなくても平気。
  • 人を見下すような発言や行動をする。
  • ちょっとしたことで怒る。
  • 注意散漫になる。
  • 一度話しだすと止まらなくなる。

 躁状態では自分だけが気分がよくなり、周囲はうんざりした気持ちになります。また、一般常識から外れた言動が多くなり、暴力や犯罪につながってしまうこともあります。

双極性障害の特徴

 双極性障害は躁状態とうつ状態を繰り返すといった大きな特徴がありますが、それ以外にも次のような特徴があります。

  • 発症年齢が若い。
  • 再発が多く、4~5回繰り返す人も少なくない。
  • うつ状態の方が期間が長い。躁状態が現れるのに数年かかる場合もある。
  • 最初はうつ病と診断されやすい。そこから正しく双極性障害と診断されるまでには5年以上かかることがほとんど。
  • 過食、過眠、からだのダルさが現れることもある。

双極性障害の診断

 双極性障害の診断では、うつ病との見分けが重要です。
 しかし、それは非常に難しく、最初からうつ病ではなく、正しく双極性障害と診断されることは多くはありません。
 したがって、うつ病と診断された場合でも、双極性障害かもしれないと思った場合は、精神科を受診しましょう。

 

 うつ状態に目が向きがちですが、過去の躁状態のエピソードも診断の役に立ちますので、きちんと話せるようにしておきましょう。また、家族や周りの人も本人がどのような状態だったのか話せると良いでしょう。

 

うつ病と診断されやすい理由

 気分が高まっている時(そう状態)、医師には相談に行かないものです。
 相談しに行くときは、気分が落ち込んでいる時(うつ状態)です。その際、以前のそう状態のことを話すことはないでしょう。
 このようなことにより、双極性障害は見落とされやすく、うつ病と診断されてしまうことが多いです。

 

うつ病と診断されても双極性障害の可能性はある

 次のような症状が見える場合、うつ病ではなく、双極性障害の可能性を疑ってみましょう。

  • 過眠・過食
  • 若くして発症
  • 再発が多い
  • 抗うつ薬の効きが悪い

 

双極性障害の見逃しが難治性うつ病に繋がることもある

 双極性障害の見逃しが難治性うつ病の原因になることがあります。一向にうつ病が良くならないなら双極性障害の可能性もあります。薬を変えることで打開することもありますので、医師と相談しましょう。

双極性障害の治療

 双極性障害の治療は薬物治療が基本となります。

 

気分安定薬(炭酸リチウムなど)

 双極性障害の治療において、中心的に使われる薬です。
 躁状態に効くものもあれば、うつ状態に効くものもあります。また、そううつを起こさないような予防の役割もします。
 副作用や稀に中毒症状が起こることありますので、医師と相談して慎重に使ってください。

 

抗精神病薬

 統合失調症の薬である抗精神病薬もよく使われます。躁状態の時にも、うつ状態の時にも使われます。

 

抗うつ薬の使用は慎重に

 いつ躁状態になるかは想像がつかないものです。躁状態でで抗うつ薬を使うと、躁が悪化することがあります。
 また、うつ状態で抗うつ薬を使った場合でも、一時的に良くなることはありますが、躁状態が現れやすくなるといった危険性もあります。
 抗うつ薬は慎重に使う必要があります。

 

睡眠を大切にする

 睡眠が短くなると躁状態になりやすいです。睡眠時間は最低でも6時間は確保したいところです。そのために次のようなことに注意しましょう。

  • アルコールは睡眠のリズムを乱すので禁酒する。
  • 海外旅行の際は時差による寝不足に気をつける。

 

刺激を避ける

 刺激を受けると躁状態を招くきっかけになります。次のようなことに注意しましょう。

  • 大勢の人が集まるイベントなどは避ける。
  • 刺激の強いイベントに参加したあとは休養をとる。

 

 

うつ病の診断や治療は専門の医療機関にてお受けください。→うつ病を診察してもらう病院や相談窓口